脂質異常症は何科を受診する?受診先や検査・治療の流れを解説
「健康診断でコレステロールや中性脂肪の数値を指摘されたけれど、何科を受診すればいい?」「症状がないのに病院へ行く必要はある?」と迷っていませんか。脂質異常症は自覚症状がほとんどないことが多いものの、数値の程度やほかの病気の有無によっては、継続的な管理や薬物療法が必要になる場合があります。受診先に迷うときは、まず内科・総合診療が相談先になります。
脂質異常症には、LDLコレステロールが高い場合、HDLコレステロールが低い場合、中性脂肪が高い場合などがあります。原因には生活習慣だけでなく、糖尿病や甲状腺疾患などの病気、遺伝的な要因が関係することもあるため、数値だけを見て自己判断しないことが大切です。
この記事では、脂質異常症で受診する診療科の目安、主な原因や放置した場合のリスク、医療機関で行う検査、治療までを解説します。健康診断で脂質の異常を指摘された方や、何科へ相談すればよいか迷っている方は、参考にしてください。
脂質異常症は何科を受診する?

脂質異常症を指摘された場合は、まず内科や総合診療を行う医療機関で相談できます。健診結果だけでは、薬物療法が必要か、まず生活習慣の見直しで経過をみるかまでは決まりません。持病や家族歴、心臓・血管の病気の有無によって適した診療科が変わるため、自分の状況に合わせて受診先を考えることが大切です。まず、状況ごとの受診先の目安を整理します。
状況 | 受診先の候補 |
健康診断で脂質の異常を指摘された/受診先に迷う | 内科・総合診療 |
狭心症・心筋梗塞・末梢動脈疾患などで治療中 | 循環器内科 |
糖尿病・甲状腺疾患などで治療中 | 内分泌代謝内科 |
健康診断で指摘された場合の内科・総合診療
健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪などの異常を指摘されたものの、何科へ行けばよいかわからない場合は、まず内科や総合診療を行う医療機関へ相談できます。健診結果を確認しながら、脂質の値だけでなく、血圧や血糖、体重、喫煙歴、家族歴なども含めて全体のリスクをみていきます。診察や検査の結果を踏まえ、生活習慣の見直しと経過観察でよいのか、追加の検査や薬物療法が必要なのかを検討します。複数の項目で異常を指摘されている場合も、まず全体を相談できる診療科から受診すると進めやすくなります。
心臓・血管の病気がある場合の循環器内科
狭心症や心筋梗塞、末梢動脈疾患などで治療を受けている場合は、循環器内科で脂質管理を行うことがあります。すでに心臓や血管の病気がある方は、再発予防も含めて脂質の管理目標を考える必要があるためです。現在循環器内科へ通院している方は、健康診断の結果を主治医へ見せるとよいでしょう。脂質の値やほかの危険因子を踏まえ、必要に応じて治療内容や検査計画が見直されます。新たに胸痛や息切れなどがある場合は、その症状もあわせて伝えてください。
糖尿病・甲状腺疾患がある場合の内分泌代謝内科
糖尿病や甲状腺疾患ですでに治療を受けている場合は、内分泌代謝内科が受診先の候補になります。脂質の異常がこれらの病気と関連していることもあるため、現在の治療状況とあわせて評価することが大切です。血糖値の異常や甲状腺疾患を指摘されている方は、脂質の健診結果も主治医へ伝えましょう。まだ診断を受けておらず受診先に迷う場合は、まず内科から相談し、必要に応じて専門診療につないでもらう方法もあります。
脂質異常症とは?
脂質異常症は、血液中のLDLコレステロールやトリグリセライドが高い、またはHDLコレステロールが低いなど、血中脂質が基準から外れた状態です。自覚症状が乏しいまま経過することが多いため、健康診断や血液検査で初めて気づく方も少なくありません。数値の意味を正しく受け止めるためにも、診断基準と症状の特徴を押さえておきましょう。
脂質異常症の診断基準
日本動脈硬化学会の基準では、脂質異常症のスクリーニングにLDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、non-HDLコレステロールを用います。代表的な基準は次のとおりです。
項目 | 基準 | 判定 | |
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 | |
〃 | 120〜139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 | |
トリグリセライド | 空腹時150mg/dL | 以上 | 高トリグリセライド血症 |
〃 | 随時175mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 | |
non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | 高non-HDLコレステロール血症 | |
〃 | 150〜169mg/dL | 境界域高non-HDLコレステロール血症 |
ただし、基準値を超えたからといって、全員が同じ治療を受けるわけではありません。年齢や喫煙、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、心血管疾患の有無などをあわせて評価し、治療の必要性や管理目標を決めます。
脂質異常症の自覚症状
脂質異常症は、自覚症状がほとんどないまま経過することが多い病気です。そのため、「体調は悪くないから大丈夫」と考えているうちに、脂質の異常が長く続いていることもあります。健康診断で異常を指摘された場合は、症状の有無だけで受診の必要性を判断しないことが大切です。家族性高コレステロール血症など、一部の遺伝性・高度な脂質異常症では、皮膚や腱に黄色腫がみられることがあります。ただし、こうした所見がない方もいるため、日常の症状だけで脂質異常症を見分けることはできません。
脂質異常症で考えられる主な原因

脂質異常症というと食べ過ぎや運動不足を思い浮かべるかもしれませんが、原因はそれだけではありません。生活習慣の影響に加え、糖尿病や甲状腺疾患など別の病気、遺伝的な要因が関係する場合もあります。原因によって治療の考え方が変わるため、体格や生活習慣だけで決めつけず、背景をみながら判断していくことが重要です。まず、脂質のタイプと影響しやすい生活習慣を整理します。
脂質のタイプ | 影響しやすい生活習慣 |
LDLコレステロールの高値 | 飽和脂肪酸(肉の脂身・バターなど)のとり過ぎ |
中性脂肪(トリグリセライド)の高値 | エネルギー・糖質・アルコールのとり過ぎ、肥満 |
HDLコレステロールの低値 | 運動不足、喫煙 |
食生活・運動不足などの生活習慣
LDLコレステロールの高値には、飽和脂肪酸を多く含む食品をとり過ぎる食生活などが関係します。一方、中性脂肪は、エネルギーのとり過ぎ、糖質やアルコールの過剰摂取、肥満などの影響を受けやすい項目です。運動不足や喫煙は、HDLコレステロールの低値とも関連します。ただし、脂質異常症は「食生活が悪い人だけがなる病気」ではありません。体格が標準的な方でも脂質の異常がみられることはあるため、見た目や体重だけで判断せず、血液検査の結果をもとに原因を考える必要があります。
糖尿病・甲状腺疾患などの病気
脂質異常症の背景に別の病気があり、その影響で脂質の値が乱れることがあります。たとえば糖尿病では中性脂肪が高くなったりHDLコレステロールが低くなったりすることがあり、甲状腺機能低下症ではLDLコレステロールが上昇する場合があります。そのほか、慢性腎臓病やネフローゼ症候群、胆汁うっ滞を伴う肝・胆道疾患、一部の薬剤などが脂質に影響することもあります。こうした続発性脂質異常症が疑われる場合は、脂質だけでなく背景にある病気や薬の影響も含めて評価します。
家族性高コレステロール血症などの遺伝的要因
家族性高コレステロール血症は、遺伝的な要因によって生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい病気です。成人では、未治療時のLDLコレステロールが180mg/dL以上、腱黄色腫、第一度近親者の家族性高コレステロール血症または早発性冠動脈疾患などが診断の手がかりになります。若い頃からLDLコレステロールが高い、家族にも同じような指摘を受けた人がいる場合は、その情報を医師へ伝えてください。一般的な生活習慣による脂質異常症とは管理の考え方が異なるため、適切な評価を受けることが大切です。
脂質異常症を放置した場合のリスク
脂質異常症で注意したいのは、数値そのものだけではなく、異常が続くことで将来の病気につながる可能性がある点です。特にLDLコレステロールの高値は動脈硬化性疾患と深く関係し、中性脂肪が著しく高い場合には急性膵炎にも注意が必要です。症状がない時期から管理する意味を知るため、主なリスクを順に見ていきましょう。
動脈硬化の進行
LDLコレステロールが高い状態などが続くと、動脈の壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化が進行すると血管が狭くなったり、血栓ができやすくなったりし、心臓や脳などへの血流が妨げられる原因になります。動脈硬化も初期には自覚しにくいため、症状のない時期から危険因子を管理することが重要です。高血圧や糖尿病、喫煙などが重なると心血管リスクは高くなるため、脂質だけでなく複数の要因をあわせて評価します。
狭心症・心筋梗塞
心臓を養う冠動脈に動脈硬化が進むと、血管が狭くなって心筋への血流が不足する狭心症や、血流が大きく途絶える心筋梗塞につながることがあります。LDLコレステロールが高いことは、こうした冠動脈疾患の重要な危険因子の一つです。すでに狭心症や心筋梗塞を経験した方では、再発予防のためにより厳格な脂質管理が必要になる場合があります。治療目標は既往歴やほかの危険因子によって異なり、たとえば心筋梗塞の既往がある場合は、健診の基準値より低い目標が設定されることもあります。健診の基準値だけで判断せず、主治医と管理方針を決めましょう。
脳梗塞
動脈硬化は脳へ血液を送る血管にも影響し、血管の狭窄や閉塞によって脳梗塞につながることがあります。高LDLコレステロール血症は、脳梗塞の中でも特にアテローム血栓性脳梗塞との関連が知られています。脳梗塞にはさまざまな原因があり、脂質異常症だけで発症が決まるわけではありません。高血圧や糖尿病、喫煙、不整脈などほかの危険因子もあるため、脂質の数値だけを見るのではなく、全体のリスクをみながら予防を考えることが大切です。
中性脂肪の著しい上昇と急性膵炎
中性脂肪が著しく高い場合は、動脈硬化だけでなく急性膵炎にも注意が必要です。空腹時のトリグリセライドが500mg/dL以上の著明な高値では急性膵炎のリスクがあり、特に1,000mg/dL以上ではリスクがより高くなるため、速やかな医療評価が必要です。健診で中性脂肪が非常に高いと指摘された場合は、食事や飲酒の影響だけと決めつけず医療機関へ相談しましょう。強い上腹部痛や背中に広がる痛み、嘔吐などを伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
脂質異常症の診察・検査・治療の流れ

脂質異常症の診療では、健診の数値だけを見てすぐに薬を始めるわけではありません。まず生活習慣や家族歴、持病などを確認し、血液検査で脂質の状態を評価します。そのうえで必要な追加検査を行い、心血管リスクに応じて生活習慣の改善や薬物療法を選びます。治療開始後も定期的に数値を確認し、状態に合わせて管理方法を調整していきます。
問診・身体診察
問診では、健診結果のほか、これまでの脂質の値、食生活、運動習慣、飲酒・喫煙、体重変化、持病、服用中の薬などを確認します。また、前述した家族性高コレステロール血症の可能性を考えるため、家族に脂質異常症や若年で冠動脈疾患を発症した人がいるかも参考にします。身体診察では、血圧や体格などを確認し、必要に応じて黄色腫やアキレス腱の肥厚などがないかをみます。問診・身体所見・検査結果を組み合わせることで、追加検査や今後の管理方針を検討します。
コレステロール・中性脂肪などの血液検査
血液検査では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドなどを測定し、健診時の異常が続いているかを確かめます。中性脂肪は食事の影響を受けやすいため、採血が空腹時か随時かによって判断基準が異なる点にも注意が必要です。診断基準の数値だけで治療方針が決まるわけではありません。過去の検査結果との変化や、心血管疾患につながるほかの危険因子もあわせて評価し、生活習慣の改善や薬物療法の必要性を判断します。
原因・合併症を調べる追加検査
脂質異常症の背景にほかの病気がないかを調べるため、必要に応じて血糖値やHbA1c、甲状腺機能、肝機能、腎機能などの検査を追加します。どの検査が必要かは、健診結果や持病、症状などによって異なります。また、動脈硬化の状態を評価する目的で頸動脈超音波検査などが検討されることもあります。すべての方に同じ検査を行うわけではなく、問診や身体診察、血液検査の結果を踏まえて必要性を判断します。
食生活・運動習慣の見直し
脂質異常症の治療では、生活習慣の改善が基本になります。LDLコレステロールが高い場合は、肉の脂身やバターなど飽和脂肪酸を多く含む食品のとり過ぎに注意します。中性脂肪が高い場合は、食べ過ぎや糖質、アルコールの過剰摂取を見直すことがポイントです。運動は、ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、無理のない範囲で継続することが勧められます。持病や体力によって適した運動量は異なるため、極端な食事制限や無理な運動ではなく、続けやすい方法を医師や管理栄養士と相談しましょう。
必要に応じた薬物療法
生活習慣を見直しても脂質の値が十分に改善しない場合や、心筋梗塞などのリスクが高い場合には、薬物療法を行うことがあります。どの薬を選ぶかは、LDLコレステロールや中性脂肪の状態、既往歴、年齢、ほかの病気、服用中の薬などによって異なります。薬を始めたあとも生活習慣の改善は大切です。薬の効果や副作用をみるために血液検査を行いながら治療を続けることもあります。数値が下がっても自己判断で薬を中止せず、服薬の変更や中止については医師と相談してください。
定期的な検査・経過観察
脂質異常症は治療開始後も、定期的に経過をみていくことが大切です。生活習慣の変化や薬の効果を血液検査で確認し、必要に応じて治療内容を調整します。通院や検査の頻度は、脂質の値、治療方法、心血管リスクなどによって異なります。状態が安定していても自己判断で通院を終えるのではなく、医師から案内された時期に検査を受けましょう。継続的に状態をみることで、脂質の変化に応じた管理につなげやすくなります。
脂質異常症に関するよくある質問
脂質異常症は何科を受診すればよいですか?
健康診断で指摘され、受診先に迷う場合は、まず内科や総合診療を行う医療機関へ相談できます。狭心症・心筋梗塞などで治療中なら循環器内科、糖尿病や甲状腺疾患で治療中なら内分泌代謝内科が候補です。迷う場合は無理に決めず、内科で全体を相談し、必要に応じて専門科へつないでもらいましょう。
症状がなくても受診した方がよいですか?
脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま進むことが多い病気です。症状がなくても、LDLコレステロールなどの高値が続くと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクにつながることがあります。「体調が悪くないから」と放置せず、健診で指摘された場合は一度相談することがすすめられます。
薬を一度飲み始めたら、一生続けるのですか?
薬を始めても、必ずしも一生続けると決まっているわけではありません。生活習慣の改善で数値が安定すれば、薬の量や種類が見直されることもあります。一方、リスクが高い場合は継続が必要なこともあります。いずれの場合も、数値が下がったからと自己判断で中止せず、医師と相談して決めることが大切です。
食事や運動だけで数値は下げられますか?
脂質異常症の治療は生活習慣の改善が基本で、程度によっては食事・運動の見直しで数値が改善することもあります。ただし、家族性高コレステロール血症やリスクの高い場合などでは、生活改善だけでは不十分で薬物療法が必要になることもあります。どこまで生活改善で対応できるかは、数値やリスクをみて医師が判断します。
まとめ|脂質異常症を指摘されたら内科へ相談
脂質異常症は、LDLコレステロールや中性脂肪が高い、HDLコレステロールが低いなど、血液中の脂質が基準から外れた状態です。自覚症状が乏しいため、健康診断で異常を指摘されたことが受診のきっかけになる方も少なくありません。何科へ行けばよいかわからない場合は、まず内科や総合診療を行う医療機関へ相談できます。
原因には生活習慣だけでなく、糖尿病や甲状腺疾患、遺伝的な要因が関係する場合もあります。当院では、健康診断で脂質の異常を指摘された方や、コレステロール・中性脂肪の数値が気になる方のご相談を一般内科で受け付けています。健診結果や持病などを確認し、必要な検査や治療方針を検討します。受診先に迷っている方も、横浜岡野町クリニックへご相談ください。
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